2012年6月5日火曜日

エピソード3〜離島症候群〜

大学3年の夏休み、アニメに疎いボクもハルヒに興味を持ち出し、過去のアニメをみたり、ラノベを読み始めた。見始めると大抵嵌るのだが、そこに辿り着くまでのエネルギーがないということが多い。ハルヒは何とか行きつけたパターンである。そんな涼宮ハルヒの憂鬱の話の中に、孤島症候群というエピソードがあり、影響を受けたボクは絶海の孤島に対する憧れを密かに抱き始めていた。また、1人旅を大学時代にしたいという思いもあり、ちょうど大学3年の11月初旬だったか。我が椎央大学の大学祭時期(非リアぼっちにとってこの時期は当然、第二のゴールデンウイークなのである)を利用して、一泊二日で伊豆諸島、式根島へ向かうことを決意したのである。。。

式根島へ向かうにあたり、ボクはもう一つの野望を胸に秘めていた。。それは、離島の純朴な女性と仲良くなるという野望である。。。いや具体的プランなど更々ない。しかしどこからか湧き出てくる期待感があった。自分なら行けるという根拠のない自信だ。。帰り道に新百合ケ丘や町田を寄り道してフラフラするのも、若い可愛い女性との偶然の出会いを求めていた部分があった。当然、出会えたことは、ない。

竹芝桟橋からジェット船に乗り、3時間程度の船旅を楽しんだボク。船には釣り人と思しき豪傑といった感じの見た目を多く見かけた。町田や新百合ケ丘を散策しているときの雰囲気とは偉い違いで、東海汽船の乗組員も強そうだった。ちょうど、初代ポケットモンスターの船乗りみたいだった。大島やその後の島でも何人か降りると、船内は大分少なく広々としていた。残っていたのは豪傑か老人といったメンツだった。しかし!そんな中、1人で外の景色を眺めている、ボクと年齢の近そうな女性の姿もあった。見なりは垢抜けなく純朴という言葉を当てはめられそうで、顔は判別出来なかったがスタイルはそこそこだった。身長は160台前半で細身だった。ボクは彼女のことが気になり始めた。。。一体、1人でどうして船になんて乗ってわざわざ離島に行くのだろう。。。と、、、そんな謎は、式根島に到着してから解決した。。。まず、彼女も式根島で下船したとだけいっておこう。

島についてから、島内を1人でブラつくことにした。実をいうと民宿の予約は一切せず、当日で大丈夫だろうと浅い読みで一人旅に臨んだのである。島は静かで人が殆どいなかった。そして街並みはテレビでみた昭和の世界みたいだった。横浜市で生まれ育ったボクからすると、別次元に降り立ったような気分だったが、そんな気分に浸れるのも離島旅に期待していたことの一つだったから、狙い通りではあったのだ。港から道なりに進んでいくと、左手に学校が見えたが誰もいなかった。更に進むとまた海岸通りのようなところに辿り着いた。1〜2キロしか歩かなかったが、結構狭い島で、水道水はお隣の新島からパイプを通して調達しているらしい。

海岸近くの通りに、比較的ナウそうなレストランがあったので、お腹も空いたことだしそこでちょっと遅めの昼食を取ることにした。店内は静かで、ボク以外に二組ほど先客がいた。一組は熟年夫婦といったところで、もう一組は中高生ぐらいの年齢に見える女の子と、その母親だった。自分は後者が座っている隣の席に座った。都会のチェーンと違い大きな声を出して入店したことを店員にアピールしないと一向に注文出来なそうだったので、入店する前に大きな声で「ごめんくださーい!!」と叫んだ。松屋やラーメン屋でこんなこと絶対にしないのに、つくづく環境は人を帰るんだなとしみじみした。式根島にいる間は声が大きくなり、コミュ力が2割ぐらい上昇したように感じた。シェフは厨房にいて姿が見えなかったが、注文係りはその息子のようだった。18〜21ぐらいの男児で、垢抜けなかった。しかし体格はガッチリしており、顔もそこそこイケメンだったので上京すればすぐさまリア充としてキャンパスを跋扈する姿が容易に浮かんだ。頼むから上京せず、この素敵なレストランの後継者として島を守ってくれとボクは願った。。。さて、そんな彼に料理を注文し、十数分後に魚介類がふんだんに入ったドリアだかグラタンだかラザニアだったか忘れたがそれ系の料理が運ばれてきた。味はそれ系の味だったが、大きいホタテがたくさん入っており食べ応え抜群だった。料理の満足度は高くまた足を運びたいと思った。そんな孤独なグルメを楽しんでいる最中、隣席の中学生か高校生ぐらいの垢抜けないメガネかけた女の子は、しきりにこちらを横目でチラチラ見ていた。それもかなり高速なチラ見だった。今までの人生でされた(とボクが気づいた)チラ見の中では最高速度だったかもしれない。気づかれないようにしていたつもりだったのだろうか。。会話を聞く限り彼女とその母親はお隣の新島から何かの用事で式根に来た地元民らしかった。おそらく、余所者が気になってしょうがなかったのだろうが、ボクに気があるのではという妄想も膨らまずにはいられなかった。。。彼女とその母親は先にお会計を済ませ店を出ていった。どうやら近くの新島に戻るらしかったのだ。お会計のさい、リア充の素質を感じる男児とその女の子が顔見知り風の会話をかわしていた。女の子の声はやけに艶っぽく、母親と会話していた時とは違いキャンキャンしていた。完全にメスの声だった。もしかしたらリア充予備軍男児に恋をしているのかもしれなかった。

そんなこんなでボクも食事を済ませさらに奥へ進むと、天然温泉があった。木製の看板が湯の中に立っており、そこには「雅湯」と書かれていた。ハロプロに興味持ったことのあるものであればきっと、ベリーズ工房の夏焼雅を連想することだろう。この看板を記念に、シャッターに収めた。ここで気づいたのは、もしかしたら式根島は温泉が名物スポットなのかもしれないということだった。ノープランで島に来たボクは一切の入浴グッズを所持しておらず、ズボンを捲ってひざ下だけ入浴した。そこには、地元民と思われる老人が数名と、観光しに来たであろう女子大生風の三人組が水着を着用して入浴したり備え付けのシャワーを浴びたりしていた。これは絶好のアタックチャンスと目が光ったが、光るだけで声かけは出来なかった。自身のヘタレぷりに落胆しつつも、一旦引き返しそろそろ泊まる宿探しに移ろうとした。


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