2012年6月16日土曜日

エピソード3.1〜まさかの民宿ぼっち〜

雅湯から一度引き返したところで、ボクは重大なミスに気がついた。。どこの宿屋を訪ねても、満席なのである。東横インやカプセルホテルのないような地域で一泊しようと思えば、予約をしなければならないということをこの時に学んだ。これは見る人が見れば当たり前なのかも知れないが、世間知らずのボクからすればこんな些細な事でもとても大きな経験値を積んだように感じた(ほんの些細なことでも大きな仕事をしたと感じるのは準ひきこもりにありがちなことらしい)。。

困ったボクは(実はこの野宿をしなければいけないかも知れない窮地?にワクワクもしていた)、始まりの港に戻り、式根島観光協会の建物で予約の空いた宿屋をスタッフの方に探して頂くことにした。松屋よりも小さな建物のドアを開きボクを出迎えてくれたのは、一度見覚えのある顔だった。。そう!ジェット船で見かけた、若い女性だったのだ!!!顔付きは島の人の顔とでも言えばいいのか、都会的では無かったが、それでもボクには十分魅力的だった。。とにかくまずは泊まる宿がないことを伝え、その子に探していただくこととした。しばらくすると、どうやら泊めてくれる宿が見つかったようで、こちらまで迎えに来てくれるとのことだった。そしてそれまでの時間、ずっと無言でじっとしているのも悪いので、ボクは勇気を出して話かけることを決意した。。。

「島の中央に学校がありましたね。生徒はどれくらいいるのですか?」といったつまらない質問を何とか頭から捻り出し、コミュニケーションを試みた。。すると、「生徒よりも先生の方が多いんですよw」と、割りと嫌ってはいない反応だった。しかしボクはここで次の言葉が思いつかず、そうなんですか的リアクションしか出来なかった。心の中で「またせっかく切り出した会話を終わらせてしまった。なんてコミュ力が低いんだ。こんなんだから握手会でも気まずくなっておっきゃんやおがまなを困らせてしまうんだ・・・」と絶望しかけたその時、、、彼女の口から意外な一言が発せられた。「ジェット船に載ってましたよね?」

彼女はボクが同じジェット船に載っていたことを覚えており、そのことをアピールしてきたのである。これは完全にフラグが立ったと、その時確信した。。。その後も何か話した気がするがあまり憶えておらず、民宿から迎えの車が来た。。元気ハツラツとした中年女性といった感じで、会話を交わしながらもボクの微妙な受け応えに対し、「何だか歯切れの悪いお兄ちゃんだねぇ〜」と愛情の籠った口調で返してくれた。こういう風な反応をされると、コミュ障ぼっちは気を使われるより案外楽になるのであり、良い宿屋に当たったなと安堵した。民宿についたあと荷物を割り当てられた部屋に置き、また少し島内を散策した後は民宿での夕食が待っていた。が、この食事が落とし穴だったのである。

先客はボクの他に二組おり、二組とも熟年の釣り人夫婦だった。そう、この島は釣り目的で来る客が多いのであった。しかも、同じテーブルでの食事である。二組夫婦はお互いに、釣りの話で大盛り上がりだった。そのうち奥の方にいたダンディな声をした白ヒゲの旦那と、もう一組の奥さんがよく喋っていた。ダンディな白ヒゲの旦那は、「この島のブダイ釣りの名人と会って来た」などと話していた。「ブダイ釣りの名人」というフレーズがそのダンディな声と共にいまでも尚、ボクの脳裏に焼き付いており、たまにその声がフラッシュバックするのである。一方のよく喋る奥さんはたまにボクにも話を振ってくれたが、どれも一言で会話は終了してしまった。民宿の夕食で、ボクはボッチとして孤立してしまったのである。。。早々に食事を切り上げ、昼のレストランにいたチラ見少女のことを思い出しながら寝た。当時ウィルコムだった携帯端末は完全に圏外で、通信不可能なため2ちゃんも出来ず寝るしかやることがなかった。でもこんな夜も新鮮で良いのかも知れなかった。

翌朝、ボッチな朝食を切り抜け宿泊料金を支払うと、この民宿を後にしまた外をプラプラした。出航の時間が近づくに連れ、ボクはあることをしようと画策した。それは、メモ帳に携帯電話のEメールアドレスを書いて、あの観光協会の女の子に渡そうという目論見だった。最初港に戻ると彼女は1人で小屋の中にいた。ここで、昨日のお礼を伝えついでにメアドを渡そう!、、、としたが勇気が出ず一向に足が動かなかった。。。しばらくすると、その小屋に一台の車が停まり、彼女の母親らしき人物が彼女と談笑し始めた。母親らしき人物がいる間は無理なので、いなくなってから再チャレンジしようと待っていたら、気付いたら本人がいなくなっており、車もなくなっていた。彼女は別の場所へ移動してしまったようで、結局メールアドレスの記載されたメモ帳は渡されることなく、ぼくはジェット船に搭乗したのだった。船内では、悔しくて泣きそうになった。。。こうして、この非リアボッチメンの、初めての1人旅は幕を閉じた。一泊二日ではあったが濃い二日間だったように感じた。

いま振り返ってみると、女性と交際するのに1番重要なファクターは何か?それは、コミュ力が高く面白い話が出来たり、イケメンで身長が高くお洒落だったり、そういったファッション雑誌や2ちゃんねるに書かれていそうなことよりもまず、自分から話かけることの出来る勇気なのかもしれないと思った(そもそも話掛けるぐらいで勇気を使わなきゃいけない時点で彼女は諦めろと言われるかもしれないが、この男、つまりブログ筆者であるボクは、滑稽なことに諦めことがどうしても出来ないのである。。女にモテナイのに女にモテることを至上の価値と感じてしまっているとは、唖々、誠に悲劇だ!)。




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